私は、音楽は才能と考える派です。
才能にも色々あります。
これらのすべてを含めて才能だと考えています。
実際、売れているミュージシャン=技術ではなく、ルックスが良くて今の時代に即したニーズに合った音楽がやれること。そして、芸能に理解ある家庭環境で育った方が多く感じます。
1)遺伝による影響
残酷な真実ですが、近年の研究で音楽の才能は遺伝子が大きく影響することが分かりました。

↑このデータを鵜呑みにはしませんが、確かにその通りじゃないかと感じます。
特にボーカル。歌が上手い人は、練習をしなくても最初から上手いと思いませんか?
2)環境
生まれ育った環境も大きな影響を及ぼします。
例えば、お金持ちで幼少期から音楽教育を受けられる人は圧倒的に有利です。
親兄弟が誰も音楽をやらない。レッスンに通うどころか、楽器を鳴らすこともできない家に生まれた人はスタートラインにさえ立てません。
3)短期間で芽が出る
音楽やスポーツなどで結果(職業にできる。売れる)を出せる人は、短期間で芽が出る傾向にあります。
〈具体例1〉
中学生で楽器を始める→高校在学中にバンド活動して認められる→卒業と同時にプロデビュー。
〈具体例2〉
幼少期から音楽教室を受ける→小学生、中学生でいわゆる上級者レベルに到達→学校卒業後に演奏家として仕事をする。
〈具体例3〉
SNSで弾いてみたを投稿→短期間でフォロワー数が増える→お仕事の依頼が来る。
1はメジャーデビューできるバンドマンに多いパターンです。私が参加したバンドのメンバーもこのパターンでした。楽器は完全な独学。しかし、テレビ出演するバンドのギタリストとして演奏しています。
2は音楽一家や、裕福な家庭に生まれた方に多いパターンです。裕福な家庭に生まれたこと、環境が良いことも才能の一つです。
3はSNSが発展した現代に多いパターン。人から注目される才能を持った方(ルックスが良いも才能)が芽を出す事例です。
逆に…
〈例4〉
教室でレッスンを受ける→何年もかけてレベルアップ→プロになって大活躍!
…みたいな人を誰一人として見たことありません。
残酷ですが、これが現実だと考えます。
4)努力は無駄?
じゃあ遺伝子的にも適性がなく、環境にも恵まれない人はどうしたら良いのか?
努力しても無駄なのでしょうか?
年齢を重ねてからの遅いスタートは無駄ですか?
そうとは思いません。
そもそもが音楽をお仕事(金儲け)に選ぶことや、競技みたいに「結果を出すことが目的」と捉えることだけに限定するのが間違いです。
- 結果を出さなければ、やる意味がない
- 上手くならなければ無意味
- プロ(上級者)になることが目的
みたいに考えることが間違いです。
商業音楽家として成功することが、必ずしも音楽の価値ではありません。
誰にでも、生涯を通じて楽しめる趣味として続けられます。
つまり、楽しむことが一番大切なのです。
5)承認欲求を満たさない
- 上手くなりたい!
- 人から認められたい!
- 成功したい!
…みたいに強く思いすぎると、結果として良くないことになりやすいです。
音楽が楽しめなくなったり、やたら頑固になったり、まるで修行みたいに打ち込む人になってしまいます。
個人的に感じるのは…
すごく上手だけど、なんだか楽しくない演奏。
面白くない演奏。
そんなプレイヤーさんを時々見かけます。
逆に上手じゃないけど、ワクワクする人もいます。
むしろ、プロとして成功するのはこちらです。
私は凡人。趣味として目一杯楽しむぞ!
こんなユルい気持ちでちょうど良いんじゃないでしょうか?
6)メンタルブロック
承認欲求を満たそうと頑張り過ぎた場合、音にも影響が出ます。
上手くならなきゃ悪。
すごいって認められたい。
絶対にやらなければならない。
↑こう考えてしまうことで、心理的な抑制が掛かります。萎縮して余計に身体が動かなくなったり、先ほど挙げた様にあまり楽しくない演奏に聴こえてしまったり。良くない結果を生みます。
7)先生の立場
最近は、楽器演奏を教える先生がたくさんいます。生徒さんは上手くなりたい人で、先生も上達していただこうと一生懸命に指導されます。
私自身も、実はドラムとベース合わせて8人の先生からレッスンを受けた経験があります。
その際に感じたのは、先生と生徒の間に存在する「見えない壁」でした。
8)見えない壁
指導される先生の大多数が…
2)短期間で芽が出る
のどれかに該当する方であるケースが多いです。
- 若い頃から音楽教育を受けていた
- 音楽をする環境に恵まれていた
- 音楽を仕事にできる素養がある
これらを持ち合わせた方が、講師になります。それゆえに、才能に恵まれなかった一般人の感覚をなかなか理解できないのではないでしょうか?
例えば…
- 上達を目的と考える先生
- 無理な練習を教える方
この二つが多いです。
9)上達を目的と考える先生
レッスンだから当たり前!?と思うかもしれませんが、実はここに盲点があります。
将来的に「音楽家としてプロになりたい」若い人にレッスンをするのと、「趣味として楽しみたい」一般の方をレッスンすることは真逆です。
先生をされてる方は当然プロで活動されています。そのため「趣味として最大に楽しむ」ことに関しては、あまり理解が及ばないケースが見られました。
10)無理な練習を教える方
趣味で音楽をする人には継続が難しい練習方法。そして、音楽が楽しくなくなる練習方法が存在します。ストイックで修行のような練習。
具体的には、ひたすた譜読み、クリックに合わせた反復練習みたいなのを長時間させるスタイルです。
「毎日◯時間やってください!」
先生たちがプロになるために行った練習方法ですが、社会人の生徒には無理です。
これらはプロになるためには正解ですが、挫折者を大量に生み出します。
11)できない人の気持ち
音楽で成功している人、上級者の立場にいる人には「できない人」の気持ちがなかなか理解できません。
なぜならば、これまで挙げた…
- 遺伝的な素養があった
- 音楽教育を受けられる環境で育った
方たちには、そうでないケースの経験がないからです。
ですから、成功者が行ったカリキュラムをなぞる様に真似しても「できる人」にはなれません。
見極め方は…
- その人はどんな環境で育ったか?
- プロ(上級者)になった時間(年数)
この二つを知れば、自分にとって有益なカリキュラムなのかが判断できます。
12)まとめ
私は音楽でプロとして成功することは、才能じゃないかと考えています。そこには努力だけでは越えられない壁が必ずあります。
ただ悲観的になることはありません。
例えばスポーツの世界を想像してみてください。同じ練習時間を費やしても、プロ選手になれる人となれない人がいます。
しかし、プロにならなくてもスポーツを楽しみますよね?楽器や音楽も、あれと同じことです。
音楽は、あまり気負わずに楽しんだ方が良いと思います。
また、指導される先生も「プロ育成」と「趣味」でカリキュラムを変えることをお勧めします。
趣味で嗜む人には、音楽で結果を出すことよりも「楽しむこと」を第一に教えることが大切ではないでしょうか?
音楽を楽しく続けられる場所を提供することこそが教室の役割じゃないかと考えます。