今回は、マルチエフェクターの設定です。
※2025年5月24日の記事を加筆・更新しています。
機種は定番のZOOM 「MS-60B+」となります。

過去にマルチエフェクターについて投稿しました。
また、B1 four の記事も書いています。
こちらも、あわせてご覧ください。
1)歪みが良くなっている!
マルチエフェクターによくある…
- 歪みがイマイチ
- 膜が張ったような音
…が、見事になくなっています!
例えばサンズアンプにしても、実機と区別がつかないくらい音が似ています。後述するオリジナルのプリアンプパッチと組み合わせたら最高でした。これだけでも買いです。
LINE6も歪みは自然で良かったのですが、本物のサンズアンプとはちょっと違うよな?くらいの差がありましたが、こちらは見事にそっくりです。
素晴らしい進化ですね。
2)オリジナルプリアンプが良い
ZOOMオリジナルのプリアンプ「CLEAR DRIVER PREAMP」が、とても使いやすいです。

パッチメモリーの1番目にあるやつです。

たぶん、一押しなのだと解釈しています。
このプリアンプとサンズアンプを繋ぐだけで、良い感じになってしまいます。めちゃくちゃ音作りが簡単です。
それでは具体的な使用例を紹介します。
3)使用例
これは私が参加する、女性ボーカルの歌謡曲バンドで使うパッチです。

ZNR
↓
EQ
↓
DYNAMIC COMPRESSOR
↓
DARK PREAMP
↓
BASS DRIVER PREAMP
↓
CLEAR DRIVER PREAMP
の順番に並べてあります。
※楽器はプレベ(ムスタングベース)で、指弾きメイン、曲によってピック弾きで演奏となります。ジャズベースの方は、このセッティングでは合わない場合がありますのでご了承ください。
「DARK PREAMP」を歪みとして使用して、曲によってオンオフします。
4)ZNR
ZOOMのノイズリダクションは、とても優秀です。

画像は、現在の設定です。

↑
楽器本体からのノイズを減らしたいため、GTRINにしています。
数値について、再度解説させていただきます。
まずDETCT(ディテクト)は…
- 楽器のノイズをカットしたい→「GTRIN」
- 最終段でノイズをカットしたい→「EFXIN」
です。
ここで気をつけるのは、EFXINにした場合の数値です。数値が高いと歪みのサスティーンまで消されてしまいます。ちなみに繋ぐ位置は関係なく、最初か最後で働く様になっています。
Depth(デプス)は、ノイズを減らす割合です。しっかり無くしたい場合には100です。うっすらノイズを残したい人はいないと思いますから、基本的に100で大丈夫です。
THRSH(スレッショルド)は、ノイズカットが働く感度です。試しに数値を100(感度100)にすると、弦を触れた時にピックアップが拾う音(いわゆるタッピングで鳴らす音)まで無くなってしまいます。だいたい30くらいから聴いてハッキリ分かるくらいにカットされます。
歪ませる人は、30以下にした方が安心です。歪みの音までノイズと判断して消えてしまいますから。
数値をどうしたら良いか分からない方は、10から20くらいにしておけば大丈夫です。
Decay(ディケイ)は、ノイズを感知した時に音を消す反応速度です。数値を小さくするほど、音が消えるまでが速くなり、大きくすればゆっくりになります。
歪みやリバーブ、コーラスといった音を伸ばすエフェクトを使う人は、Decayの数値は大きくしないと不自然にプツッ!と切れます。必要な音まで消されてしまいますから、気をつけてください。
私は歪みを使用するためTHRSHを10、Decayは30にしています。
5)EQ
音作りのキモはイコライザーです。

もしかしたら、人によってはイコライザーだけ使用すれば充分かもしれません。

一番最初に置いて、画像の様なセッティングにしています。
50をカット、400と500をカット。
800と4.5kをブーストしています。
ベースの周波数は…
250ブースト
500カット
800ブースト
4Kブースト
…にしておけば、だいたい良い感じになります。
音が良く聴こえるけど、うるさく感じない。
具体的には、こちらをご覧ください。
6)COMPRESSOR
コンプは「ダイナコンプ」を使用しています。

理由は、他のパッチより輪郭のある音になり明瞭になります。

割とコンプをしっかり掛けています。
お好みで設定してみてください。
7)DARK PREAMP
歪みエフェクターとして、ダークグラスを使用しています。

画像の通りにしています。

ローミッド(たぶん500あたり)はモコモコするため少しだけカット。ハイミッド(1キロくらいかな?)は音抜けを良くするため、ややブースト。ゲインは35と控えめですが、ピックで鳴らすと十分に歪みます。
8)サンズアンプ
音の艶を出すために、サンズアンプを選択。

これは後段のCLEAR DRIVER PREAMPとセットで掛けっぱなしにします。

数値は画像の通りにしています。
プレゼンスを絞って、500Hzを少しカットしています。このセッティングでサンズアンプは、主にキャラクター作りの役割をさせているためゲインは低めにします。
9)CLEAR DRIVER PREAMP
2で紹介したオリジナルプリアンプです。

サンズアンプとセットで、音作りの土台にします。

画像の様なセッティングにしています。
ローカット、輪郭を出すために800Hzブースト、トレブルをブースト。プレゼンスはカットしています。
プレゼンスは弦を擦る音などノイズも多く、歌がメインのジャンル(特にバラード)で邪魔になるため絞っています。
ぶっちゃけ、このあたりは好みですね。
私は、ベースがパキパキに派手なのが苦手なので控えめセッティングにしています。
10)使い方
スタジオ練習やライブでの使い方です。
まずアンプのツマミは全部フラットにします。あらかじめバランスはEQで調整してあるため、スタジオ入室して2分で音が出せます。
アンプが変わっても音作りで迷わない。準備が早く済む。これが足元にエフェクターやプリアンプを置く一番のメリットに感じます。
ライブでの微調整は、潔くPAさんにお任せします。私の場合は、基本アンプ直派の補正みたいな使い方をしています。
画面には、DARK PREAMPを表示しておきます。フットスイッチでオンオフすることで、曲調によって「クリーンと歪み」を使い分けます。
リハではクリーンで指弾きと、歪みでピック弾きの2種類を鳴らしてPAさんに音量を調整していただきます。
ステージ本番では、指弾きとピック弾きを使い分けます。
- 指弾き+クリーン
- 指弾き+歪み
- ピック弾き+クリーン
- ピック弾き+歪み
この4種類あれば十分に対応できます。
11)マルチエフェクターの特徴
さて、これは昔から変わらないのですが、
マルチエフェクターは…
・ローが出過ぎている(盛り過ぎ)
・高域が足りない(天井が低い)
この二つが特徴となっています。
つまり…
- 低域を控えめにする
- 高域をブーストする
この二つが、メーカー問わずポイントです。
ローをカットして、ハイをブーストするだけで良い感じになります。
高域の天井が低いのは、パッシブのベースでしたらやや大袈裟に高域を出しておいて、実際に演奏しながらベース本体のトーンを絞って調整すると良いです。
良くトレブルをカットする設定例がありますが、私はブーストします。そして、出音のバランスを見てトーンを絞って調整します。
音量もうるさいくらいに出しておいて、手元で絞っておけば、(私はやらないけど)ソロ時にボリューム上げてブーストできます。
12)弾いてみた用
じゃあ、なぜメーカーさんはローが出過ぎた設定をデフォルトにしてあるのか?
それは「ベース単体で弾いてカッコ良い音」にセッティングされているからです。
MS-60B+に限らず、安価なマルチを購入する大半はアマチュアミュージシャンで、バンド活動ではなく自宅で楽しむ目的の人が多いのではないか?と推測します。
1人で鳴らすと良い感じ。しかし、バンドで鳴らすと少しベースがうるさかったり、聴こえないセッティングであることが多々あります。
13)埋もれるのではなく馴染む
ここからは個人的な好みですが、ベースは主張しすぎない方が良いと思います。
よく「ベースが抜けない」「埋もれる」みたいに言う方がいますが、それがリズム隊としての本来のベースじゃないかと考えています。裏方ですよ。
埋もれる×→馴染んでいる〇
とも言えます。
むしろ良いことじゃありませんか?
例えばドラムに置き換えて考えてください。
- ドラムばかりが爆音で目立つ
- ドラムがバンドに馴染んで落ちついている
私は、後者の方が好きです。
良くアマチュアベーシストが悩む「ベースが抜けない問題」は、実はギターの音量が大きいことが多いです。ギターにマスキングされています。ギターと帯域が被っています。
つまり、ギターさんにお願いして音量を下げてもらえば解決します。バンド全体のバランスが大切で、ボーカルが一番ハッキリ聴こえる音量が正解だと思います。
14)まとめ
MS-60B+は、めちゃくちゃ使えます!
- 音が良い
- コンパクト
- 安い
ぶっちゃけ、これだけ買えば困らないレベル。
最近はマルチエフェクターの人気が高まってきており、将来的にはマルチ(デジタル)の時代になるのではないでしょうか?
高額(15万円以上)のマルチエフェクターも出てますが、私はZOOMで十分だと思います。
実際、プロの人が仕事で使っていたりします。
実用レベルの高いエフェクターです。